【奈良国立博物館『超国宝』】ゴールデンウィーク、家族で国宝にふれる一日

 
今年のゴールデンウィーク、我が家は少し特別な過ごし方をしました。

いつもなら近場の公園でゆったり過ごすか、どこか温泉にでも……というのが我が家のGW定番コースなのですが、今年は違いました。大阪・関西万博の開催を前に、関西各地では特別展や文化イベントが数多く開かれており、その中でも一際目を引いたのが、奈良国立博物館で開催されている『超国宝』展です。

小学4年生になる息子も「国宝ってなに?」と興味津々。ちょうど歴史や仏像、美術に触れるいい機会だと思い、家族で訪れることにしました。

■ 雨予報でも決行。家族で奈良へ


 
【天気予報では、朝からあいにくの雨。中止にしようかという話も出たのですが、「展示期間は限られているし、雨の日こそ博物館日和かも」という妻のひとことで決行。念のため折りたたみ傘をバッグに詰め込み、朝のうちに近鉄電車で奈良へ向かいました。

奈良駅に着いたのは午前11時前。駅を出ると、小雨まじりの曇り空。少し肌寒く感じる気温のなか、家族でゆっくりと奈良国立博物館へと向かいました。

途中、奈良といえばおなじみの鹿たちがお出迎え。こちらが傘をさしていてもおかまいなしに近づいてきます。息子も最初は少し怖がっていたものの、慣れてくると自分から「こんにちは!」と挨拶。鹿に向かって手を振る様子が、なんとも微笑ましかったです。

■ 『超国宝』展、その名に偽りなし


奈良国立博物館に到着すると、多くの人でにぎわっていました。やはりゴールデンウィーク効果でしょうか。入場に多少並びましたが、事前にオンラインでチケットを購入していたため、スムーズに入場できました。

今回の特別展『超・国宝』は、普段は公開されることの少ない日本美術の至宝を集めた、まさに夢のような展示でした。神像、仏像、古代の宗教儀式に使われた品々など、国宝に指定された作品の数々が、一堂に会する壮観な空間が広がっていました。

驚いたのはその数と迫力。教科書や写真では見たことのある作品が、目の前に実物として存在するという体験は、やはり別格です。時代を超えてきた造形美や信仰の力が、今なお確かに息づいているように感じました。

■ 七支刀との再会。あのとき見た絵が、現実に



展示の中でも、個人的に胸が熱くなったのは「七支刀(しちしとう)」との再会でした。

七支刀は、古代の鉄剣で、刃の両側に枝のような突起がある独特の形をしています。小学生のころに読んだ歴史の本でその絵を見て以来、なぜか記憶に残っていたのです。「本当にこんな形の剣があったのか?」と不思議に思っていたあの頃。数十年の時を経て、まさか自分の目で本物を見られる日が来るとは思ってもいませんでした。

鉄の質感、経年の重み、そして何よりその不思議な造形に、思わず見入ってしまいました。息子にも「これが七支刀だよ」と教えると、「ゲームに出てきそう!」と興味津々。彼なりに、時代を超えた武器の格好良さを感じ取ってくれたようです。

■ 子どもと一緒に歴史を感じる時間


仏像や巻物の前では、息子が「これは何してるの?」「どうして頭の上に顔があるの?」と質問攻め。親としては、ちゃんと答えられるようにと少し焦る場面もありましたが、説明文や解説パネルを一緒に読みながら学ぶことができたのは、とても良い時間でした。

また、展示室内は静かで落ち着いた雰囲気のため、普段は活発な息子も自然と声をひそめて鑑賞。彼の中に“歴史を敬う心”のようなものが芽生えたのではないかと感じる場面がいくつもありました。

■ 今度は大阪・国立国際美術館へ!

 
今回の『超国宝』展は6月15日まで奈良国立博物館で開催されており、他にも大阪にある大阪市立美術館では、これまた見逃せない『日本国宝展』が6月15日まで開催中です。

こちらは仏教美術に限らず、より多様なジャンルの国宝が展示されているとのこと。関西圏で同時期にこれほどの規模の国宝展が開催される機会は滅多にありません。息子も「また行きたい!」と言っているので、近いうちに今度は大阪市立美術館にも赴く予定です。

■ おわりに:文化と歴史にふれた、心に残る一日


 
美しいもの、古いもの、貴重なものに触れると、なぜこんなにも不思議な感覚に見舞われるのでしょうか。人生100年を迎える現代で、科学技術が発達していない昔の人々の熟練された技術や、その当時では、権力者しか見ることができない展示物を見ることができることを幸せに思います。

ゴールデンウィークのたった一日でしたが、家族で文化にふれ、学び、感動を共有できたことは、何よりの思い出になりました。雨の中を歩いたことすら、今となっては良いスパイスだったように思います。

現代の便利さとスピード感あふれる日常を少し離れ、悠久の時を超えてきた芸術に包まれる——そんな一日が、今年のGWのハイライトとなりました。